ラベンダーのケモタイプ3種を比較|香りと成分の違いから選ぶ

ラベンダーのケモタイプ

Lavandula angustifolia / Lavandula x intermedia / Lavandula latifolia

Lavender Chemotypes 別名:ケモタイプ(化学種)

基本情報

科名シソ科
抽出部位花
抽出方法水蒸気蒸留法
主な産地フランス(プロヴァンス地方)、ブルガリア、日本(北海道富良野)
ノートトップ〜ミドル
香りの系統フローラル系
香りの強さ中
ケモタイプ

真正ラベンダーには産地や個体差によるケモタイプ(化学種)の違いがあります。一般的なフランス産・ブルガリア産は「リナロール / 酢酸リナリル型」が標準的で、リラックスと肌への穏やかな作用が期待できます。

一方、低地で育つスパイクラベンダーは1,8-シネオール / カンファー型で、すっきりと力強い香りになります。

ラベンダーの花穂

香りの特徴

同じ「ラベンダー精油」でも、買ったものによって香りの印象や使い心地が違います。その違いを生むのがケモタイプです。

真正ラベンダーはやわらかく甘い花の香り、ラバンディンは甘さと清涼感の中間、スパイクラベンダーはすっきりと力強くハーブ感の強い香りです。

香りの特徴イメージ

効能・効果

心への働き

  • リラックス
  • 安眠・睡眠改善
  • 不安緩和
  • ストレス緩和

体への働き

  • 血行促進
  • 鎮痛
  • 筋肉の緊張緩和

肌への働き

  • 抗炎症
  • 傷の回復促進
  • 抗菌
  • 日焼け後ケア

主な成分

酢酸リナリル、リナロール、カリオフィレン、テルピネン-4-オール

効能・効果イメージ

使用方法

  • 芳香浴
  • アロマバス
  • マッサージ
  • スキンケア
  • ルームスプレー

ケモタイプ別の使い分け
はじめてアロマを取り入れる方は香りの穏やかな真正ラベンダー、部屋やリネンの香りにはラバンディン、気分を切り替えたいときにはスパイクラベンダーが向いています。

量の目安
ディフューザーなら2〜3滴、アロマバスなら天然塩大さじ1に3〜5滴が目安です。

使用上の注意

原液を皮膚に直接つけないでください。必ず希釈して使用します。
はじめて使うときは、腕の内側などで少量を試し、異常を感じたらすぐに使用を中止してください。
妊娠中・授乳中の方、持病のある方、通院中の方は使用前に主治医へご相談ください。
小さなお子さまやペットのいる環境では、香りの強さと量に配慮し、換気を心がけてください。
スパイクラベンダーはカンファーを含み香りが強いため、少量から始めるのがおすすめです。

価格帯 デイリー価格帯(10ml:〜1,500円)
初心者おすすめ度 ★★★★★
価格について

真正ラベンダーは流通量が多く、品質と価格のバランスに優れた定番精油です。ラバンディンはさらに手に取りやすく、スパイクラベンダーはやや流通が少なめです。

相性の良い精油

  • オレンジスイート
  • ベルガモット
  • ゼラニウム
  • ローズマリー
  • レモン

同じラベンダーでも、海辺の乾いた土地と標高の高い山あいでは、育つ環境がまったく違います。日差しの強さ、土の性質、気温、水はけ——こうした条件に適応しようとする過程で、植物がつくる香りの成分の割合が変わります。これがケモタイプです。

つまりケモタイプは品種改良でつくられたものではなく、自然の環境が生んだ同じ植物の「顔ぶれの違い」です。学名は同じでも成分の構成比が異なるため、香りの印象も、暮らしの中で好まれる使われ方も変わります。精油を選ぶときに学名や成分表示を見るのが大切なのは、このためです。

ラベンダーの代表的なケモタイプ

区分 真正ラベンダー ラバンディン スパイクラベンダー
学名 Lavandula angustifolia Lavandula x intermedia Lavandula latifolia
主な成分 酢酸リナリル、リナロール 酢酸リナリル、リナロール、カンファー 1,8-シネオール、カンファー
香りの印象 やわらかく甘い花の香り 甘さと清涼感の中間 すっきりと力強くハーブ感が強い
よく使われる場面 休息の時間、スキンケア 空間の香り、ルームミスト、クラフト 気分の切り替え、清潔感を出したい場面

真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)

いわゆる「ラベンダー」として最もよく知られる種類です。標高の高い地域で育ち、甘くやわらかい香りが特徴で、精油の中でも繊細な香りとして扱われます。はじめてアロマを取り入れる方にも選ばれやすいケモタイプです。当サイトの図鑑では、この種類をラベンダー精油として基本情報からまとめています。

ラバンディン(Lavandula x intermedia)

真正ラベンダーとスパイクラベンダーが自然に交わって生まれた種類です。両方の性質を受け継ぎ、甘さと清涼感のバランスが取れた香りになります。花の咲く量が多く香りがしっかり立つため、空間の香りやルームミスト、手作りのクラフトなど、香りを広く楽しむ用途でよく用いられます。

スパイクラベンダー(Lavandula latifolia)

低地で育つ種類で、1,8-シネオールやカンファーを多く含みます。すっきりと力強く、ハーブらしい清涼感のある香りで、「ラベンダー」と聞いて思い浮かべる甘い香りとは印象が異なります。カンファーを含むため、香りの強さが気になる方は少量から試すのがおすすめです。

ケモタイプの見分け方

  • 学名の表記 — 「Lavandula angustifolia」なら真正ラベンダー、「Lavandula x intermedia」ならラバンディンです。
  • 成分の記載 — 酢酸リナリルやリナロールが多ければ甘い香り、1,8-シネオールやカンファーが多ければすっきりした香りです。
  • 産地表記 — フランスの高地産は真正ラベンダー、ブルガリア産はラバンディンが多い傾向があります。

目的別の選び方

こんなとき 向いているケモタイプ
はじめて精油を選ぶ 真正ラベンダー(香りが穏やかで試しやすい)
部屋やリネンの香りを楽しみたい ラバンディン(香りが立ち、広がりやすい)
気分を切り替えたい、すっきりしたい スパイクラベンダー(清涼感のある香り)
手作りのクラフトに使いたい ラバンディン(香りが残りやすい)

歴史と文化

ラベンダーが香料として広く栽培されるようになったのは、南フランスのプロヴァンス地方でした。標高の高い乾いた土地が栽培に適し、19世紀には蒸留の技術とともに精油づくりが地域の産業として根づいていきます。

同じ頃、ラベンダーとスパイクラベンダーが自然に交わって生まれたラバンディンも見出され、香りを大量に必要とする香水や石けんの材料として用いられるようになりました。日本では北海道の富良野をはじめとする産地で、観光とともに親しまれています。同じ「ラベンダー」という言葉の下に、土地ごとの気候が生んだ複数のケモタイプがある——その多様さそのものが、この植物の歴史です。

豆知識

ラベンダーという名前は、ラテン語の「lavare(洗う)」に由来するという説があります。香りが清潔感を連想させることから、古くは洗濯や入浴に用いられてきました。

また、同じ株でも摘む時期や標高によって成分の割合が変わるため、同じ農園の精油でも収穫年によって香りがわずかに異なります。

おすすめのブレンドレシピ

休息のブレンド:真正ラベンダー2滴+オレンジスイート2滴+シダーウッド1滴。甘さと木の落ち着きを合わせた、就寝前の空間向けのブレンドです。

すっきり切り替えのブレンド:スパイクラベンダー1滴+ペパーミント1滴+レモン2滴。清涼感を活かし、気分を切り替えたいときに。柑橘系は光毒性にご注意ください。

よくある質問

Q1. 「ラベンダー精油」と書かれていれば同じものですか?

同じではありません。学名が異なれば別のケモタイプで、香りも使い方も変わります。購入時は学名の表記を確認するのが確実です。

Q2. 香りがきつく感じます。どうすればよいですか?

精油の量を減らすか、ディフューザーを使う時間を短くしてください。スパイクラベンダーはカンファーを含み香りが強いため、少量から始めるのがおすすめです。

Q3. 休むときに使うならどれがよいですか?

香りの穏やかな真正ラベンダーが好まれる傾向があります。ただし香りは「休む合図」として取り入れるもので、睡眠の質を高める効果をうたうものではありません。