ミルラ精油の効能・使い方・歴史を専門家が解説
ミルラ
Commiphora myrrha
Myrrh 別名:没薬(もつやく)、ミルラノキ、モツヤク
基本情報
| 科名 | カンラン科 |
|---|---|
| 抽出部位 | 樹脂 |
| 抽出方法 | 水蒸気蒸留法 |
| 主な産地 | ソマリア、エチオピア、エジプト、イエメン |
| ノート | ベースノート |
| 香りの系統 | 樹木系 |
| 香りの強さ | 強 |
| ケモタイプ | 商業的なケモタイプ分類は行われていません。フラノオイデスマ-1,3-ジエンを特徴成分とし、樹脂から水蒸気蒸留で精油を採ります。 |
香りの特徴
樹脂の甘い苦みと、どこか薬を思わせるスモーキーな香りです。フランキンセンスより暗く重い印象で、古いお香や静かな祈りの場を思わせます。揮発が遅く、ブレンドに深みと落ち着きを与えます。
効能・効果
心への働き
体への働き
肌への働き
主な成分
フラノオイデスマ-1,3-ジエン、α-ピネン、リモネン、オイゲノール
使用方法
芳香浴・ディフューザー:1〜2滴をディフューザーに。瞑想や、気持ちを静めたいときに。フランキンセンスやサンダルウッドと合わせると深まります。
スキンケアオイル:キャリアオイル10mlに1〜2滴(0.5〜1%)。肌の引き締めを意識したい部分に、やさしく塗布します。
アロマバス:天然塩ひとつまみに1滴を混ぜてから湯に溶かします。
ブレンドのコツ:ベースノートとして、全体の香りを落ち着かせます。ラベンダーや柑橘系と合わせると、重さがやわらぎます。
保管:樹脂由来のため、光や酸素で変化しやすい精油です。遮光瓶で冷暗所に保管し、開封後は早めに使い切ってください。
使用上の注意
妊娠中は使用を避けてください。通経作用が報告されているためです。授乳中も芳香浴中心の低濃度にとどめ、使用前に医師へ相談してください。
3歳未満への使用は避けてください。3歳以上は低濃度(0.5%以下)で芳香浴中心に。
肌への使用は1%以下に希釈し、原液を塗布しないでください。
樹脂由来のため、光や酸素で変化しやすい精油です。開封後は冷暗所で保管し、1年以内を目安に使い切ってください。
初めて使うときは必ずパッチテストを行ってください。
猫のいる空間では、芳香浴も控えてください。猫は精油成分を代謝しにくいためです。
相性の良い精油
歴史と文化
ミルラは和名を没薬といい、その歴史は4000年以上に及ぶとされます。古代エジプトでは薫香や香油に使われ、遺体の防腐にも用いられました。紀元前から地中海世界とアラビア半島を結ぶ交易品として、乳香とともに珍重されています。
新約聖書には、東方の三博士が贈り物として黄金・乳香とともに没薬を捧げたと記されています。誕生の場に贈られるものと、埋葬の際に用いられるものの双方を象徴する香りとして、長く語り継がれてきました。
豆知識
ミルラは樹皮に傷をつけ、にじみ出た樹脂を固めて採取します。樹木の生育が遅く、香りのよい樹脂が得られるまでには長い年月がかかります。
「ミルラ」の名は、アラビア語で苦いことを意味する語に由来するといわれます。樹脂はかじると苦く、この苦みが語源と結びついています。
精油は粘性が高く、暗い色をしています。香りが長く残るため、少量でも存在感があります。ブレンドでは1滴から始めると扱いやすいです。
樹脂を原料としますが流通量が多く、10mlあたり1,000〜1,500円前後で手に入ります。ミイラの防腐や薫香に使われた歴史をもつ、香りの格が高い樹脂系の中では手に取りやすい価格帯です。